📝投資タイミングのQ&A

🏴株式投資のQ&A

Question①|一括投資と積み立て投資。結局どっち?

10000回シミュレーション。結果は?

一括投資も分散投資も選べるなら、どちらが良いのでしょうか。
早速ですが、シミュレーションの概要と結果です。

円安トレンドが継続し、米国一強とされる今、一番人気の投資先『米国S&P500』。
この超王道指数に投資する米国上場投資信託『SPY』を例に見ていきましょう。

2024年の日次平均株価変化率と標準偏差はそれぞれ0.09%と0.79%。
標準偏差は、値動きの平均からのぶれの大きさを表しています。

この2つの数字を使い、エクセルで乱数を発生させ、シミュレーションを実施しました。
ルール設定は以下の通りです。

  • 評価期間は1年間
  • 1年間の市場営業日は252日
  • 1年後の評価額が大きい方が勝ち
  • 一括投資は年初一括
  • 積み立て投資は年初と以後21営業日毎の計12回
  • 一回の積み立て額は一括投資金額の12分の1
  • シミュレーション回数は10,000回

結果は。

9271 対 729 で一括投資の圧勝でした。

日次平均変化率を少し変えてシミュレーションをしてみましたが、変化率がプラス、かつ、高いほど一括投資の勝率が上がっていきました。
また、標準偏差を変えて実施すると、標準偏差は小さい方が一括投資に有利でした。

投資商品ごとに変化率と標準偏差は異なるので、銘柄ごとで結果が異なることが想定できます。
2つの数値のバランスが大事なようですが、平均変化率がプラスで、標準偏差が極端に大きくなければ、投資のリターンという観点では一括投資が有利なことは間違いなさそうです。
なお、配当を考慮すると、さらに一括投資が有利になります。

5分もあればエクセルでシミュレーションできるので、検討中の投資先があれば是非一度検証してみてください。

  • (参考)変化率乱数発生のためのセル入力例:=NORMSINV(RAND())*$D$1+$B$1
    ※以下のエクセル画像では、変化率に100%を加え、1年後の評価額を計算し易いようにしています。
注)シミュレーションの前提として、SPYの株価変化率が正規分布に従うと仮定しています。

リターンは一括投資が圧勝。死角は?

シミュレーションの結果、リターンは一括投資の圧勝でした。
では、一括投資は無敵なのでしょうか?

結果を検証したところ、勝率は高いですが、万一成績が悪かった場合、投資額がより大きく目減りする可能性があるということがわかりました。
一括で大きな金額を投資する以上、避けられない問題です。

リターン観点では一括投資の一択のように見えますが、リスク観点では積み立て投資以上の含み損を抱えるリスクがあることを念頭に投資の意思決定が必要になります。

含み損をどの程度抱えそうか、また、その含み損でもホールドできそうか、投資前に考えておくことで、市場の荒波に負けない堅実な投資が実践できるはずです。

Question②|今買うか、待つべきか。買い時はいつ?

上がる・下がるは予測不能。『今買う』が基本⁉

株式市場は、政治・経済・災害・戦争など、さまざまな要因の影響を受けて動きます。
高度なAIがいつか答えを見つけるのかもしれませんが、現時点では、上がる・下がるを予測するのは不可能と言っても良いのではないでしょうか。

当たり前の話ですが、上がる・下がるの値動きがなければ株価は動きません。
ただ、この値動きも”軸となる動き”と”誤差にあたる動き(ぶれ)”に分けて考えることができます。

誤差にあたる動きの大きさは、一般的に標準偏差と呼ばれています。
標準偏差は大きくても小さくてもただの誤差と考えると、軸になる動きである平均変化率が値動きの本質と捉えることができます。

平均変化率がプラスであれば、短期的なブレはあれど、最終的には平均へ回帰する過程をたどり、結果として投資成績はプラスに収れんしていきます。

今上がり過ぎているから、今下がり過ぎているから、は主観を排除できません。
上がり過ぎていると感じても、まだまだ上がっていく可能性も十分あるでしょう。

中長期の投資が前提、かつ、良い投資先があるのであれば、今買うのが正解なのではないでしょうか。

待つなら、いつが買い時?

今買うのが基本だとしても、少しでも損失の確率を下げ、利益の可能性を高めるスベはないのでしょうか。

日々の値動きは、過去の流れをくんだ一定の均衡状態にあると言ってよいでしょう。
この均衡が崩れる時、それが絶好の投資ポイントになる可能性があります。

至近の例を挙げるなら、日銀の量的質的金融緩和の開始です。
このイベント発生までの株価の動きと以後の動きは異なるはずです。
それまでの均衡は崩れ、新しい動きが始まります。

過去のデータから、イベント発生後の株価の推移を検証してみましょう。

量的質的金融緩和の開始は、2013年4月です。
変化の兆しは2012年11月から始まります。

当時の野田民主党政権の衆院解散が決まったことで自民党への政権交代が期待される中、当時の安倍自民党総裁のデフレ脱却への意志表示と日銀の強力な金融緩和政策の実施が必要との見解を示したことを受け、株価が上昇を開始します。

出所)TradingView。東証株価指数TOPIXの月足のろうそく足チャート。表示期間は2009年1月~2025年1月。

当時の民主党政権で停滞した経済情勢に対する大きな変化の兆し。
この変化をとらえることは、明日株価がどうなるかを予測するよりも、ハードルは低いのではないでしょうか。

また、別の観点からも買い時を探っていきます。

株価の変化率は正規分布に従うことが一般に知られています。
株価の変化率は平均値を中心として左右対称の釣り鐘型に広がり、確率的にきれいな分布を持つとされます。

値動きはランダムではあるものの、確率的に見ると一定の法則に従って動いているということです。
実際の変化率のデータを見てみましょう。

以下のグラフは、先ほど触れた米国上場投資信託SPYの2024年の日次変化率のヒストグラムです。
確かに平均値を中心としてほぼ左右対称な釣り鐘型になっていることがわかります。

ただ、実際には平均値よりも少し右側の出現頻度が多くなっています。
また、特に気になる点として、で囲まれた、ほぼ起こりえないはずの領域で出現頻度が突然増えています。

これは正規分布の想定を超えた大きな下落が何度か発生していることを示しています。
こういった状況が起こる背景には、合理的な投資家を前提としている理論では説明のつかない何らかの非効率性・非合理性が存在していると考えられています。

具体的には、売りが売りを呼び、それが更にパニック的な売りを呼ぶ状況です。
合理的に説明がつかない水準まで下落してしまうことになります。

この合理性では説明できない正規分布から外れたところ。
ここは人の非合理的な行動が生み出す部分。

多くの人には脅威となるこういった状況は、一部の人にとっては投資の絶好の機会になるはずです。

投資タイミングのQ&A まとめ

  • 期待リターン(平均変化率)がプラスであれば、ほぼ一括投資に軍配‼
  • 一括投資は下落局面では積み立て投資以上の含み損を抱える可能性あり‼ 心の準備を‼
  • 合理的な市場では投資機会をはかることは得策ではなく、今が入り時‼
  • 市場の均衡を破る大きな変化の兆しをとらえた長期投資は吉
  • 合理的な市場で時折発生する非合理な局面は、待てる人の絶好の投資機会に‼
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