この記事では、株式の収益力の凄さを、日本と米国のデータを使い、企業のビジネスの構造にも目を向けつつ、深掘りしていきます。
根拠①:給与の伸びを圧倒‼
日本では…。
2004年度→2023年度
総額で見る
過去20年の日本における年間給与総額(民間セクター)は約1.2倍に。
一方、上場企業の株式時価総額は約2.7倍、更に年間配当総額はなんと約5.4倍です。
- 年間給与総額は約202兆円から約233兆円へ、約1.2倍 ※
- 日本の上場株式時価総額は約377兆円から約1008兆円へ、約2.7倍 ※
- 日本企業の年間配当総額は約3.5兆円から約19兆円へ、約5.4倍 ※

平均で見る
総額で見るよりも顕著な数字が並んでいます。
この20年、雇用者数は10%強増加しているため、平均で見るとほとんど横ばいでした。
一方、日経平均はアベノミクスや旧黒田日銀による量的質的金融緩和の影響などで3.4倍に。
配当利回りは、東証の資本効率改善要請などを受け、上昇。
株価と利回りの改善を受け、平均的な配当額は5.5倍になった計算です。
- 雇用者数が約5300万人から約6000万人へ増えたことで、平均給与は約5%増加
- 日経平均株価は11,670円から40,369円となり、約3.4倍
- 日経平均の配当利回りが0.97%から1.54%へ。株価上昇との相乗効果で、日経平均の平均配当額は約5.5倍
米国では…。
2004年→2023年
総額で見る
日本に比べ、より尖った資本主義のイメージがあるアメリカ。
労働収入の成長率が日本に比べ、高い結果に。
経済成長力の違いを見せつけられた形です。
- 一方、年間給与総額は約6.7兆ドルから約14.2兆ドルへ、約2.1倍
- 米国の上場株式時価総額は約16兆ドルから約50兆ドルへ、約3.1倍
- 米国企業の年間配当総額は約6.7兆ドルから約1.9兆ドルへ、約3.5倍

指数で見る
上場企業の数は変化しているので、ダウ指数とS&P500指数の変化も見ておきましょう。
時価総額の3.1倍を超え、ダウ指数は3.5倍、S&P500指数は3.9倍になっています。
- ダウ指数
- 2004年12月終値:10,783.01
- 2023年12月終値:37,689.54
1975年→2023年
総額で見る
1975年からの長期データも見てみましょう。
至近20年では数倍程度の伸びでしたが、長期で見るとすごい数字が並びます。
- 年間給与総額は約0.9兆ドルから約14.2兆ドルへ、約15倍
- 米国の上場株式時価総額は約0.7兆ドルから約50兆ドルへ、約71倍
- 米国企業の年間配当総額は約330億ドルから約1.9兆ドルへ、約59倍

指数で見る
ここでは、ダウ指数の変化のみ見てみます。
上場会社時価総額の71倍には届きませんが、44倍でした。
- ダウ指数
- 1975年12月終値: 852.41
- 2023年12月終値:37,689.54
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根拠②:経済成長率を大きく上回る伸び‼
日本では…。
過去20年で名目GDPは1.12倍に成長しています。
これに対し、上場株式の時価総額と配当総額はその数倍も大きく上昇していることがわかります。
労働収入は、おおむね名目GDPの成長と同程度の伸びです。

米国では…。
過去20年で名目GDPは日本の約2倍の2.24倍に成長しています。
これに対し、上場株式の時価総額と配当総額はこの経済成長を大きく超えて上昇。
労働収入は、日本同様、おおむね名目GDPの成長と同程度の伸びです。

根拠③:企業の稼ぐ仕組み
企業は財務的なレバレッジと負債による節税効果、及び、情報資産の同時多重利用によるレバレッジ効果により、自己資本の何倍にも利益を増幅させることができます。
これにより、ここまでのデータが示す通り、経済成長率以上の、また、投入する労働力以上の成長を遂げられるのだと考えます。
財務レバレッジ
日本政策投資銀行のデータブックによると、2022年の全産業TTLの単純平均自己資本比率は44.6%。
この数字は、平均して各企業が自己資本と同額強の負債で資金調達を行っていることを示しています。
企業は自己の信用を活用して、財務的なレバレッジを掛けているわけです。

自己資本のみでの事業運営に比べ、レバレッジを掛けた分、収益性が高まる仕組みです。
更に負債による資金調達には節税効果があるため、レバレッジ以上の見返りが期待できます。

シナジー・範囲の経済・情報の同時多重利用
企業はノウハウや技術などの情報資産を抱えています。
この情報資産は物理的な制約がほぼないため、複数事業で活用されたり、外部企業への有償提供などが行われます。

複数目的に使用することで、レバレッジを掛け、収益性を高めることができます。

労働(人)と資本ストック(物・情報など)
人的な労働力には限界がありますが、道具や機械・設備などを用いて、限りある労働力にレバレッジを掛け、投入する労働量の何倍もの生産性を実現します。

人的な労働に対して、資本ストックを掛け合わせることで、生産性を大きく向上させています。
技術革新が進展すると、生産性が飛躍的に向上する一方で、必要な労働力が減少する欠点もあります。

参考・関連
参考データ
この記事の参考データは以下のサイトで確認できます。
興味を持たれた方は是非チェックしてみてください。
- 日本取引所グループ|年度データ
- 国税庁|年次データ
- 日経プロファイル|
- IMF|
- FED|
- OECD|
- World Bank|
- 日本政策投資銀行|
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